ITLFフィールドワーク vol.2 「Nui 〜今もつづく、祈りの形としての芸能〜」
June 21, 2022
過去を辿り、未来を考えるフィールドワーク
昨年開催した展示イベントでは、Iwate, the Last Frontierが捉えている岩手の世界観をお伝えすることができました。今年は、その世界の中心軸となるような要素・場所を実際に訪れ、思考を巡らせるフィールドワークを企画しています。6月に開催された第1回「『もののけ姫』から読み解く岩手」に続き、第2回目のご案内です。
Nui 〜今もつづく、祈りの形としての芸能〜
第2回目のテーマは、「郷土芸能」です。昨年の展示会にて発表した、400年前に実在した遠野の伝説の猟師「旗屋の縫」と山の神・白鹿とのやり取りをもとに創作した作品『Nui』(富川岳・作 五十嵐大介・絵)を入り口に、今も岩手の地でつづく「鹿子躍/しし踊り」に触れ、また狩猟に関わる方と交流することで、岩手で続いてきた祈りを紐解き、人と獣(自然)の関係性・向き合い方を捉えなおす二日間です。
自然と共に生きていた縄文人からエミシ。その精神を引き継ぎ、人と自然の間をつなぐものとして今もなお岩手に続いているのが「郷土芸能」です。岩手には日本で最も多くの芸能があると言われ、その中でも代表的な芸能の一つに「しし踊り(鹿踊り/鹿子躍/獅子踊り)」があります。もともとは鹿をはじめとした四つ足の動物を供養することから始まったとされ、今ではお盆にも踊られるなど、時代を経る中で人を供養する意味ももつ芸能です。
『Nui』のラストシーンでは、伝説の猟師が山の神・白鹿を討った供養として、しし踊りを舞いました。猟師と鹿、人と自然。今回はそんな『Nui』の世界をきっかけとして、岩手県のしし踊り団体を2つ訪問し、鑑賞・交流し、岩手で続いてきた祈りの形を読み解いていきます。
岩手のしし踊りは、幕系と太鼓系の二種類があります。幕系は遠野、釜石などに見られ、太鼓系は花巻、奥州、一関などに見られます。
幕系は、しし、太刀(刀を持った人)、太鼓、笛の一群で構成されます。太鼓系と比較するとより”民の芸能”といった風合いであり、太鼓と笛の音色にのせて躍動するししと、刀を持ってそれと対峙する太刀の様子は、人と自然(獣)の対立と調和を表現していると言われています。今回、鑑賞・交流する幕系の団体は、遠野市小友 山谷しし踊り保存会 です。遠野の山深き小友町にある団体で、リズミカルな太鼓と共に勇壮で激しい舞が特徴の団体です。
一方、太鼓系は、本物の鹿の角をつけた迫力のある頭に、長いササラを背中から上に伸ばし、自ら太鼓を打ちながら舞い、念仏を唱えます。その様子からは、人々が古より感じてきたであろう獣への畏怖の念と供養の形を見ることができます。今回、鑑賞・交流する太鼓系の団体は、一関市舞川 行山流舞川鹿子躍保存会です。岩手県の南端一関市の中心地から北東に眺める山並み、北上川と古都平泉に挟まれた舞川地区に伝わる太鼓踊系鹿踊(ししおどり)で「行山流(ぎょうざんりゅう)」の流派です。
太鼓系、幕系、それぞれに特徴があり良さがありますので、ぜひこの機会に2つの踊りを鑑賞・交流いただき、学びを深めていただけたら幸いです。
●日時
インプットトーク:2022年7月22日(金)19:00~20:30
フィールドワーク:2022年7月30日(土)、7月31日(日)の2日間
●フィールドワークスケジュール
Day 1(7/30)
9:00 遠野集合
9:30 伝説の猟師・旗屋の縫の軌跡を辿る(畑屋観音)
ご子孫にお会いし、縫が生きた舞台を歩く
13:00 遠野に続いてきた信仰・祈りの形を知る(遠野市立博物館)
15:00 祈りの形としての民の芸能を見る
遠野市小友「山谷しし踊り」鑑賞・交流
18:00 ジビエ料理&どぶろく
Day 2(7/31)
9:00 一関文化伝承館 集合
9:15 狩猟の現場。狩ること、命をいただくこと。
一関で狩猟をされている方にお話を伺います
10:00 自然(獣)との向き合い方を感じる
一関市舞川「行山流舞川鹿子躍」鑑賞・交流
12:30 ランチ
15:00 解散
●本フィールドワークに参加を希望の方
下記フォームよりご連絡くださいませ。詳細をこちらからご連絡いたします。
https://forms.gle/G2v6AarL49h7NKrXA
●ご協力
一関市舞川 行山流舞川鹿子躍保存会様
遠野市小友 山谷しし踊り保存会様
おのひづめ様
高橋孝喜様