Iwate, the Last Frontier

ITLFフィールドワーク vol.3 「遥かなる森の記憶 〜北の文化とブナ林〜」

September 13, 2022


過去を辿り、未来を考えるフィールドワーク

昨年開催した展示イベントでは、Iwate, the Last Frontierが捉えている岩手の世界観をお伝えすることができました。今年は、その世界の中心軸となるような要素・場所を実際に訪れ、思考を巡らせるフィールドワークを企画しています。6月に開催された第1回「『もののけ姫』から読み解く岩手」、第2回目「Nui 〜今もつづく、祈りの形としての芸能〜」に続き、第3回目のご案内です。

◆第3回ITLFフィールドワーク 遥かなる森の記憶 〜北の文化とブナ林

過去を辿り、未来を考えるフィールドワーク。
第3回目のテーマは「森」です。
 
縄文時代、人口の大半は東日本、特に東北に集中しており、西日本の人口は希薄だったことが考古学により分かっています。その理由は、狩猟採集の時代には、東日本の方が西日本より自然の産物が適しており、豊富だったことによります。


縄文の人々を支えていたのは、ブナを代表とする落葉広葉樹林の森でした。クリやクルミやトチなどの食用となる木の実、あるいは山菜やキノコ。それを餌にする獣たちや、渓流には川魚たち。縄文文化は、これらの恵みを育むブナ林の自然に適応し、それを基礎に発展した文化であるともいわれます。
 
東日本と西日本の文化の違いに深く目を凝らす時、その背景には、文化に影響を与えてきた生態系が見えてきます。
すなわち、東から北に広がる広葉樹林帯と、西から南に広がる照葉樹林帯。その植生の領域は、日本列島を越えて、やがて広大なアジア大陸の地図を描きます。



 
今回のフィールドワークでは、森の世界地図で岩手を位置づけることで、はるか北方へとつながる森の文化圏を探ります。
 
さらに同時に、もうひとつの領域を越えることにも試みていきたいと思います。それは、人間と、動植物などの他種との境界線です。
 
近年、マルチ・スピーシーズ(複数種)という概念が、多くの分野で注目されております。マルチ・スピーシーズとは、人間と人間以外の存在という二元論を超えて、人間を含めた複数種(動植物だけでなく、モノ、神々、精霊までも含む)が絡まり合う共生関係について考えるものです。地球環境の持続可能性(サステナビリティ)が危ぶまれる時代において、人間の存在意義を捉え直し、アップデートを目指すための概念といえます。
 
そのマルチ・スピーシーズが想像し、そして創造しようとする世界は、もしかしたら縄文人たちの自然観そのものなのではないか。私たちはその仮説に立ち、遥かな記憶を宿すブナの森を歩くことで、身体性を通じ、自然観がトランスフォーメーションしていく体験に没頭してみたいと思います。


 
そして最後に、今回のフィールドワークの重要な登場人物について触れておきます。
 
岩手の北方的な森の中で、縄文的な自然観を追い求めようとする時、一人の偉大な詩人が浮かび上がってきます。
その詩人の名は、宮沢賢治。彼が詩で歌い、童話で語る世界には、鳥や木や草、獣や山や川にいたるまで、すべてが人間と平等に描かれております。

そこで私たちは、宮沢賢治の童話作品を手がかりに、このフィールドワークをはじめていきたいと思います。
宮沢賢治は、これからの私たちの果てしない旅の導きとなることでしょう。
その記念すべき出会いの時を、皆さんとご一緒できることを楽しみにしております。


 
 
●日時
インプットトーク:2022年10月14日(金)19:00~20:30 @オンライン
フィールドワーク:2022年10月22日(土)、10月23日(日)の2日間
 
●フィールドワークスケジュール

Day 1
10:00 道の駅にしね(岩手県八幡平市大更第2地割154−36)集合
10:15 磐手森
10:40 焼走り溶岩流
12:00~13:00 ランチ
14:00 網張ビジターセンター
18:00 森や畑の恵みのディナー @Soil
20:00 宿泊 @Soilまたはペンションシャラ
 
Day 2
7:30 朝食
8:30 出発
9:30 千年草原とブナ林散策
11:30 野外ランチづくり@ブナの駅
13:30 振り返り
14:30 解散

●本フィールドワークに参加を希望の方
下記フォームよりご連絡くださいませ。詳細をこちらからご連絡いたします。
https://forms.gle/G2v6AarL49h7NKrXA

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